2022.12.13「声の行方」


きのう飲み込んだ声は

 

肉の奥で蠢き

擦れ合って

散ってゆくのか

 

それとも

 

肌の裏へ流れ込み

華々しい血肉に

変わってゆくのか

 

いまはまだ

色が見えない

 

真実を見つけるのに

悲観も楽観も要らないから

 

きのう飲み込んだ声を

身体から取り出し

眺めるよりない

 

 


2022.11.24「怒り」


曖昧に連ねられた

ぼやけた単語に

とめどなく怒りを覚える

過去との重複か

架空との戦か



2022.11.24「焼けた心」

言葉は垢にまみれ

赤黒く光る

焼けた心に
もう水はかけない
ただ眺めるだけ

 

 

    2022.9.21 「膿」

午前五時に
正気を保つ

わたしの脳からこぼれた膿は
誰にも望まれず土へ還る

おまえの唾
虫の死骸
鳥の糞

わたしの
美しさは
愛は
生きてきた証は
どこへ
どこへ
どこへ

 

 



2022.9.18 「幸せの在処(断絶)」

続く道の無情さに
耐えられなくなったのか

あなたの身体は見えないまま彼方へ

幸せは何処にあったのだろう
誰にも責められやしない
断絶しているから

あなたの悲しみが
どうかなくなっていますように

 

 

 

2022.?.?

 

幸せという言葉を知らなければ

幸せになれたのだろうか

 

向上心がわたしの首を

絞めつけて放さない

 

この先見る景色は

とうの昔終わった夢の蛇足か

答えは雲の上握られている

 

新しい風など有りやしない

肉の奥に問いかける

どうすれば

皮膚は更新されるのか

 

星が今日も消えてゆく

だいじょうぶ

身体に幾度も言い聞かせ

それでも骨は揺れている

 

 

 

 

2022.?.? 「リセットボタン#2

 

蓄積された過去の重量が

私の現在を

 

無慈悲に

踏み潰してゆく

 

追われるように

探していた物の

不在を知った夜

 

かつて描いた

人生設計図

炎のなかに投げ捨てた

 

それでも道は続いてゆく

それでも命は続いてゆく